
情けは人(ひと)の為(ため)ならず
情をかけておけば、それがめぐりめぐってまた自分にもよい報いが来る。人に親切にしておけば必ずよい報いがある。
補注:情をかけることは、かえってその人のためにならないと解するのは誤り。
出典:「日本国語大辞典 第2版」
(平成12~14年 小学館)
"「ことば食堂へようこそ!」
第19話 【情けは人のためならず】"
実はこの「情けは人のためならず」、旧五千円札にも描かれた新渡戸稲造(にとべいなぞう)が作った詩の一部分なんです。
「情けは人のためならず」は、大正4年発売の『一日一言』に書かれています。これは本当によい本で、人生に役立つ言葉が366日分書いてあります。しかも、言葉が分かりやすくて読みやすい! 気になった人はぜひ、読んでみてください。
それでは、この『一日一言』の「4月23日“恩を施しては忘れよ”」全文を読んでみましょう。
施せし情は人の為ならず おのがこゝろの慰めと知れ
我れ人にかけし恵は忘れても ひとの恩をば長く忘るな
出典:『[新訳]一日一言:「武士道」を貫いて生きるための366の格言集」 新渡戸稲造著』
情けは他人のためではなく自分自身のためにかけるものだ。だから自分が他人にした良いことは忘れてもいい。でも、人から良くしてもらったことは絶対に忘れてはいけないよ、という意味ですね。
辞書に載っている「情をかけておけば,それがめぐりめぐってまた自分にもよい報いが来る」というのは、新渡戸稲造の詩を元ネタに、より分かりやすく、読み手の教訓になるように改変されたのではないかと思います。
「情けは人のためならず」の本当の意味は、情けは、自分の心の満足のためにかけるものであって、見返りを求めるものではない。ということになりますね!
ナンスカ
「情けは人のためならず」という言葉があります。
情けをかけることは、情けをかけられた相手にとっていいことですが、それだけではありません。自分のほうにも、その報いが利子をつけて返って来ます。
「情けは人のためならず」ということわざ通りです。
このことわざは、情けをかけることは相手のためにならないと間違って解釈されることがありました。
しかし、このことわざの本来の意味は、情けをかけることは他者のためだけではなく、自分自身のためでもあるという意味だったのです。
鏡の法則を理解すれば、情けをかけることは他者のためでもあり、また、自分自身のためでもあることが納得できます。
本来、自他は一体です。
他人にすることは、自分にすることです。
情けをかけることに遠慮はいりません。
慈悲の心で良いことをどんどんしていきましょう。
それは相手のためですが、同時に自分のためでもあります。
困ったときは、お互いさまです。困ったときはお互いさまの精神で生きていると、自分が困ったときも確実に助けてもらえます。